秋の花粉症について
秋の花粉症について
花粉症といえば春のスギやヒノキでお困りの方も多いと思いますが、秋になっても、花粉による鼻や目の症状で悩む方が増えます。秋の花粉症の主な原因は「ブタクサ」「ヨモギ」「カナムグラ」などの草木類です。これらの植物は、日本全国の河川敷や空き地、道路沿いなどに生えており、これらの花粉はスギやヒノキのように遠くまでは飛散せず、草刈を行ったり、隣地の空き地への自生することなどの、近距離の暴露により目のかゆみ、鼻水、くしゃみが悪化することで受診される方が多いです。
ブタクサは背が低く、黄色い花を咲かせる植物です。住宅街であってもよく空き地に自生していることがあります。そのため、秋の花粉症の典型的な原因の一つです。
ヨモギは山野や空き地によく見られ、葉の形が特徴的です。ブタクサ同様、鼻水・くしゃみ・目のかゆみなどの症状を引き起こします。
カナムグラはつる性の植物で、フェンスや樹木に絡みついて成長します。秋に花粉を飛ばし、ブタクサやヨモギと同様にアレルギー症状を引き起こすことがあります。
一方、セイタカアワダチソウはブタクサに似た黄色い花をつけますが、花粉症の原因にはなりません。これは、セイタカアワダチソウの花粉が虫によって運ばれる「虫媒花」であり、風で飛散することが少ないためです。見た目が似ていても、花粉症とはあまり関係がありません。
秋の花粉症の症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみが代表的です。症状が軽い場合は市販の点鼻薬や抗ヒスタミン薬で対応できることもありますが、症状が強い場合や長引く場合は、早めに医療機関での診察をおすすめします。当院では、症状や季節、血液検査などをもとに、原因植物を特定することができます。
治療と対策を記します。
- 薬物療法:抗ヒスタミン薬や点鼻薬で症状を和らげます。ひどい症状が出る前から服用を始めた方が有効的に症状を抑えられます。
- 暴露対策:外出時にはマスクやメガネを着用し、帰宅後は衣服や髪についた花粉を払い落とすことが重要です。室内では空気清浄機やこまめな掃除で花粉を減らします。
- 環境対策:まず自分がどのような花粉に対してアレルギーをもっているのか知っておくこと、そして原因花粉に近づかないことです。可能であれば環境整備をして花粉飛散前に秋の雑草の管理しておくことが望ましいです。
秋の花粉症は、春のスギ・ヒノキ花粉症と比べると認知度が低いことがありますが、症状が出る期間は長く、生活に大きな影響を与えることがあります。症状を軽くするためには、早めの対策と正しい治療が重要です。
またヨモギ花粉にアレルギーを持つ方はセリ科(セロリ、ニンジン、スパイス類)、ウルシ科(マンゴー、ピスタチオ)を食べたときに、ブタクサ花粉にアレルギーを持つ方はウリ科(メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ)を食べたときに口の中がイガイガしたりする症状を呈することがあります。これはPFAS(花粉‐食物アレルギー症候群 pollen-food allergy syndrome)といって、ヨモギ花粉やブタクサ花粉のたんぱく質(アレルゲン)に対してアレルギー反応を示す人が、その花粉のたんぱく質と似た構造をもつ食べ物を食べたときにアレルギー症状を引き起こしてしまう状態の事です(口腔アレルギー症候群 OAS とも呼ばれます)。今まで食べられていたのに、急に食べると症状が出るようになった方は、PFASの可能性を考えて検査を進めていいかもしれません。
当院では、症状や生活状況に応じた最適な治療を提案しています。春のみでなく、秋の花粉症でもお困りの方は、お気軽にご相談ください。
