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肺がん

肺がんとは、肺を構成する気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化し異常に増殖する悪性の腫瘍(しゅよう)です。発症早期には症状がないことが多く、ある程度進行して初めて症状が出ることが多いです。

日本における肺がんの現状

残念なことに、日本では、肺がんはとても身近ながんの一つです。

  • がんの中でのりかん率(新しく診断される割合)は第3位(男性では大腸がんに次いで第2位、女性では第4位) (2020年 全国がん登録罹患データより)
  • 他のがんと比べて男性の肺がんによる死亡率は第1位、女性は大腸がんに次いで2位です。特に男性の死亡率が多いのが特徴です。(2023年 人口統計がん死亡データより)

近年は医療の進歩で早期発見・治療が進んでいますが、それでもまだ死亡数は年間7万人を超えています(2023年厚生労働省統計)。

肺がんの原因と症状

肺がんの主な原因

原因 説明
喫煙 最も大きなリスクです。たばこに含まれる有害物質が肺の細胞を傷つけ、がん化します。受動喫煙(他人の煙)も危険です。
大気汚染・職業性ばく露 排気ガス、アスベストなどの吸入も原因となることがあります。
遺伝 血縁者に肺がんの方がいる場合、リスクが少し高まることがあります。
加齢 年齢とともに肺がんの発生率は上がります。60歳以上に多く見られます。

肺がんの症状

初期はほとんど症状がありません。そのため、ある程度進行してから気づくことが多くなります。以下のような症状が現れたら注意が必要です。

  • 長引くせき、たん
  • 血が混じるたん
  • 胸の痛み
  • 息切れ
  • 声がかれる
  • 食欲が落ちる、体重が減る

これらの症状がある場合は、なるべく早く医療機関に相談してください。また健康診断で胸部異常陰影を指摘されているけど、放置している方は、結果を紛失していても結構ですので一度ご相談ください。

肺がんの検査

肺がんかどうかを調べるには、いくつかの検査を組み合わせて行います。

検査名 内容 特徴
胸部レントゲン 肺の影を確認します。 最も基本的な絶対に必要な検査です。
喀痰(かくたん)細胞診 痰の中にがん細胞があるか調べます。 体に負担なく比較的簡単にできる検査です。
腫瘍マーカー 血液中のがんに関係する物質を調べます。 目安にはなりますが、確定診断には不十分です。
胸部CT検査 レントゲンよりも詳細な画像が得られます。 小さながんも見つかる可能性があります。レントゲンで疑わしいときに行います。当院では即日CT撮影が可能です。
気管支鏡検査 細い内視鏡を気管支に入れて、レントゲン透視化に直接がんの部位を見て組織の採取を行い病理検査、がん遺伝子検査をおこないます。 確定診断に重要な検査です。連携病院で入院のうえ施行します。
脳造影MRI検査 CTやPETでは分からない転移性脳腫瘍の有無に使います。 連携病院で施行します。
PET検査 がん細胞のステージ(病期)を画像で捉えます。 CTで分からない部位も、全身に転移がないかも調べることができます。連携病院で施行します。

これらの検査結果を組み合わせて、がんの有無・種類・病気(ステージ)を判断します。

当院で画像検査や採血、喀痰検査などから肺がんを疑った場合には、適切な医療機関に紹介し、さらなる精査、治療をしていただきます。

肺がんの治療

まずタバコは絶対にやめていただきます。肺がんの進行を早め、治療効果に影響を与えるためです。自分ではなかなかやめられない方は、当院で禁煙外来も行っておりますので、ご相談ください。

肺がんの治療方法は、がんの種類・大きさ・転移の有無・体の状態などを総合的に見て決まります。

主な治療法

  1. 手術
     がんが肺の一部にとどまっている場合には、手術で取り除くことが可能です。全身状態が良ければ第一選択になります。
  2. 放射線治療
     がんに放射線を当てて小さくしたり、症状を和らげたりする方法です。手術が難しい方にも使われます。
  3. 抗がん剤(化学療法)
     がん細胞の増殖を抑える薬を使います。全身に作用するため、転移がある場合にも使われます。
  4. 分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬
     近年注目されている治療法です。がん細胞だけを狙い撃ちする薬や、免疫の力を高めてがんを攻撃する薬などがあります。
  5. 緩和ケア
     がんの進行による痛みや呼吸苦などの症状を和らげ、生活の質を保つ治療も重要です。

治療はガイドラインにのっとり、患者さんのパフォーマンス・ステータス(日常生活自立度)、がんがどの程度進行しているか(病期)を検討して行われます。私も大学病院勤務時代には肺がんの診断、治療を行っておりましたが、クリニックレベルでは対応が難しい病気ですので、適切な医療機関の専門医と連携をとり、最適な方法を提案させていただきます。もし積極的な検査や治療は希望しない場合にも相談に乗ります。患者さんの希望により、当院では緩和ケアに対応してまいります。

肺がんについての Q and A

Q. 肺がんはうつりますか?

A. いいえ。肺がんは感染する病気ではありません。

Q. 喫煙していないのに肺がんになることはありますか?

A. はい、非喫煙者でも肺がんになることがあります。特に女性では、非喫煙者の肺がんも一定数あります。

Q.健康診断でレントゲンが異常なしでも安心ですか?

A. レントゲンだけでは小さながんは見つからないことがあります。CT検査の方が診断精度が高いため、肺がんのリスクが高く疑わしい場合には追加検査を行います。

Q.早期に見つければ治る可能性はありますか?

A. はい。早期の肺がんは治療で完治が期待できる場合があります。定期検診や早期受診がとても大切です。

Q.治療はつらいですか?

A. 治療内容によって副作用の強さは異なりますが、近年は副作用を抑える薬も増えており、体に負担の少ない治療法も選べるようになっています。特に薬剤による肺がんの進歩は目覚ましいものがあります。当院では肺がんに対する治療はおこなっていないため、専門医のいる連携病院に紹介させていただきます。

院長より

肺がんは日本人にとって非常に身近ながんのひとつです。早く見つければ治る可能性もある一方で、進行してしまうと治療が難しくなることもあります。

特に、長引くせきや痰、血の混じる痰、体重の減少などの症状がある方は、どうか「年のせい」などと思わずに、一度医療機関での検査をおすすめします。

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