当院のCT検査について
保険診療でのCTと、CT検診/肺がん検診(自費診療)について
~からだの中を詳しく調べる新しい選択肢~
はじめに
当院では、即日CT検査を実施しております。健診で胸部異常陰影を指摘された方や、呼吸器症状がある方などは、保険診療でのCT検査が可能です。
また、**自費によるCT検診および肺がん検診(低線量CT)**も行っています。
症状がない方でも、早期発見・早期治療を目指して自費でCT検査を受けることができます。
ここでは、
- CTとは何か、撮影できる部位と料金
- 肺がん検診における低線量CTの特徴
- どんな人が検査を受けるべきか
- よくある質問
- まとめ
- 院長より
をわかりやすくご紹介します。
① CTとは何か
CT(コンピューター断層撮影)は、X線を使って体の中を輪切りの画像として撮影できる検査です。通常のレントゲンよりもずっと詳しく体の中を見られるのが特長です。CTを導入しているクリニックは非常に少ないのですが、当院ではより早期に正確な検査を提供する目的に最新のCanon製16列マルチスライスCTを導入しております。このCTはAI(人工知能)技術を用いて、従来CTに比較して放射線感受性の高い乳房や水晶体(目の組織)に対して60%程度の被ばく線量を抑え、最大50%のノイズ(画像のみだれ)を抑えています。
CT検査が可能な部位
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撮影部位 |
特徴 |
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肺(胸部) |
肺がん、肺炎、肺気腫、気胸、間質性肺炎、胸部大動脈解離、気管支拡張症などを検索します。 |
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頭部 |
脳出血、脳萎縮、脳梗塞の跡などをチェックします。ただし、脳血管異常や新規脳梗塞などはMRIでないと判断ができません。 |
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腹部 |
肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、腹部大動脈りゅうなど、お腹の臓器をチェックします。ただし、胃や腸などの評価はやや困難でありt適宜胃カメラや大腸カメラを必要とします。 |
※妊娠中、妊娠の可能性がある方は原則CT検査を推奨いたしません。
※腹部CTを行う場合は検査前に食事摂取制限がある場合があります。
読影(画像の診断)体制
- 肺CTの結果は検査後すぐに、呼吸器内科専門医である院長がお伝えします。念のため放射線専門医によるダブルチェック(二重読影)を行い、最終結果は数日後にお伝えします。
- **頭部・腹部CTも、放射線専門医によるダブルチェック(二重読影)**を行っており、最終結果は数日後にお渡しします。
② 肺がん検診について(低線量CT) 自費
肺がんと新たに診断される人数は年々増えており、2019年には男性約8万4000人、女性約4万2000人が肺がんと診断されております。60歳以降になると急激に増加します。肺がんは男性のがんの死亡原因第1位、女性では第2位となっており、がんの中でも死亡率が非常に高い病気ですが、早期に発見できれば根治する可能性も十分にあります。
そのため、「肺がん検診ガイドライン2025年度版」では、重喫煙者への低線量CT検査は、推奨グレードA(最も推奨される)とされております。
低線量CTとは?
「低線量CT」とは、通常のCTよりも放射線量を減らして撮影する方法です。
肺の中は空気が多く、X線が通りやすいため、少ない放射線でも十分に画像が得られます。そのため肺がん検診において、被ばく量の少ない低線量CTは単純レントゲン撮影に比較して、得られる情報量が圧倒的に多いため、非常に有用な検査と考えられます。
当院の低線量CTのメリット 撮影部位:肺とした場合
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検査法 |
被ばく量 (目安) |
特徴・メリット |
注意点 |
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低線量CT |
約0.06mSv |
肺がんの早期発見に有効。被ばく量が胸部レントゲンなみに少ない。 |
画質はやや劣るが肺がんの検索には十分とされる |
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通常CT |
約4〜6mSv |
より高画質。精密検査に適す。 |
やや被ばく量が多い |
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レントゲン |
約0.05〜0.1mSv |
最初に行う検査。健診で広く使用。 |
小さな病変は見逃すことがある |
※1mSv=ミリシーベルト(放射線の単位)
肺がん検診ガイドライン2025における低線量CTの位置づけ
日本肺がん検診ガイドライン(2025年版)では、以下の条件に該当する方に対して、低線量CTによる検診を推奨しています。(推奨グレードA)
低線量CTを受けた方がいい人
- 50歳~74歳で、長期間にわたって喫煙している方(重喫煙者)
重喫煙者の定義(日本のガイドラインより)
「ブリンクマン指数 600以上」の方
- ブリンクマン指数 = 1日の喫煙本数 × 喫煙年数
- 例:1日20本×30年間=600(該当)
低線量CTの有効性(エビデンス)
アメリカの大規模研究(NLST試験)では、低線量CTによる肺がん検診を行ったグループで、死亡率が約20%下がったという報告があります。
これは、小さな肺がんを早く見つけて、早く治療できることが背景にあります。
③ よくあるご質問(Q&A)
Q1:CT検査に痛みはありますか?
A:**全くありません。**装置に横になってから2分程度で撮影が終わります。
Q2:CT検診はどのくらいの頻度で受ければいいですか?
A:特に肺がん検診は、1年〜2年に1回程度が一般的です。年齢や喫煙歴によって変わりますので、ご相談ください。
Q3:CTで肺がんが疑われた場合にはどうなるのですか?
A:肺がんが疑わしい場所を気管支鏡(肺の内視鏡)や手術で採取して、確定診断を行うのが通常の流れです。内視鏡や手術に関しては適切な連携病院やご希望される病院に紹介させていただきます。ご安心ください。
④ まとめ:当院のCTの特徴
- 肺・頭部・腹部のCT検査に即日対応しております
- 読影は放射線専門医とダブルチェックを行います
- 肺CTは即日結果説明可能、他部位は後日(放射線科読影後)報告
- 低線量CT(単純レントゲンと同程度の線量)による肺がん検診が可能
⑤ 院長からのメッセージ
当院では、レントゲンのみでなくCTも導入することで、レントゲンでは見えない病気の早期発見に努めていきます。
特に肺がんは、早期であれば根治も可能な病気です。「病気があるかどうかはっきりさせるのが怖い」という気持ちもわかります。ですが、病気の基本は早期発見、早期治療です。早く見つければみつけるほど、治療の選択肢は増え、予後も良くなります。
「健診で胸部異常陰影を指摘されているけど、症状がないから放置している。」そのような方には保険診療でのCT検査が可能です。
「元気だけどタバコを吸うから、将来のために検査をしておきたい」という方には、ぜひCT検診(自費)をおすすめします。
ひとりだとタバコをやめられないなら、当院で禁煙外来(保険診療)もやっております。一緒にがんばりましょう。
健康に関することで不安なことがあってもどうしたらいいかわからない方も、どうかお気軽にご相談ください。
